【vol.5 ビタミンC】心と体の「お疲れモード」に。がんばる体を支える栄養素

ママ管理栄養士による「こども栄養学」

新学期、運動会などの行事や、習い事。子どもががんばる時期に、なぜか「疲れやすい」「ちょっとしたことで気分が浮き沈みする」という姿が増える。そんなふうに感じたことはないでしょうか。睡眠時間は十分に取れている場合でも、実は体の中で不足している栄養素があるかもしれません。

【保護者の方からのご相談】

小学3年生の息子のことです。最近、帰宅後すぐにソファに倒れ込んでそのまま居眠りしてしまう日が増えました。どうにか宿題に取り掛かるも、集中が続かないのか、問題を解いている途中でやめてしまうこともしばしば…。

なんとか最後まで終わらせるよう息子に声をかけても、「もう疲れた!」と怒ったように言い返してくるんです。

前はこんなことなかったので、心の問題なのか、体の問題なのか…どう接してあげればいいのか、分からずにいます。
(愛知県・40代女性/小学3年生の男の子の保護者)

新学期など、新しい生活が始まるタイミングに、体が疲れやすくなったり気持ちの浮き沈みが激しくなることは、決して珍しいお悩みではありません。
日々の食事でどのようにサポートできるのか、今回はそのカギとなる、わんぱくキッズに不可欠な栄養素「ビタミンC」について詳しく見ていきましょう。

【このお悩みは、一児の母でもある管理栄養士の宮﨑先生と一緒に考えます】

自身も子育てに奮闘中のママであり、食のプロフェッショナルでもある宮﨑先生。お母さんたちのリアルな不安に寄り添いながら、今日からできるアドバイスをお届けします。

管理栄養士 宮﨑奈津季先生

宮﨑 奈津季(管理栄養士/一児の母)

大学を卒業後、医療系食品メーカーで2年間営業に従事。その後独立し、記事執筆やレシピ開発、商品企画に携わる。会社立ち上げも経験。
現在はプロジェクトマネージャーとして、食や健康に関するコンテンツ制作や企画、ディレクションを担当している。その他、Webメディア編集や特定保健指導、講師業などをフリーランスとして幅広く活動中。

1. ビタミンCとは何か

ビタミンCというと「かぜ」や「肌」を思い浮かべる方が多いのですが、体の中での役割はもっと基礎的なところにあります。大きく2つです。

ひとつは、抗酸化のはたらき。体の中で発生する活性酸素などのラジカルを、ビタミンC自身が身代わりに酸化されることで消し去ります。運動や疲労、環境の変化など、体に負荷がかかる場面ほどこのはたらきが求められます。

もうひとつは、コラーゲンをつくる役割。コラーゲンは血管や皮膚、骨といった「体の土台」をつくるたんぱく質で、その合成にビタミンCが補因子(酵素のはたらきを助ける成分)として関わります。体が急ピッチでつくられていく成長期には、それだけ材料が必要になります。

そして大前提として、人の体はビタミンCを自分でつくれません。多くの動物は体内で合成できますが、人にはその働きがありません。食べたものから摂る以外に、手に入れる方法がない栄養素です。

2. 足りなくなると、どんなかたちで出てくるのか

「疲労感」や「だるさ」が出てくる

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、体内のビタミンCが十分でない状態では、まず疲労や倦怠感(だるさ)といった症状が現れるとされています。
ここで注目したいのは、ビタミンC不足のサインとして「疲れやすさ」が比較的早い段階のものとして挙げられていることです。「しっかり休ませているはずなのに、なかなか元気が戻らないな」と心配になる場面でも、実は栄養不足という体の側の事情が重なっていることがあります。

鉄が届きにくくなる

ビタミンCには、野菜や大豆に含まれるタイプの鉄(非ヘム鉄)が、吸収しやすい形に変化させるのを助けるはたらきがあります。足りなければ、せっかく食べた鉄も取り込まれにくくなる。以前の「vol.3 鉄分」の記事でご紹介した「なんとなく元気がない」という鉄分不足のサインと、ビタミンC不足は重なりやすい関係にあります。

体にストレスがかかる場面では、多くのビタミンCが消費される

喫煙や受動喫煙など、体に強いストレス(酸化ストレス)がかかる状況では、体内でビタミンCが大量に消費されます。そのため、該当する人は通常よりも多くビタミンCを摂ることが推奨されています。

もちろん、「ビタミンCを増やせばたばこの害を帳消しにできる」わけではありません。基本は環境の改善(禁煙など)を前提としたうえで、消費されてしまった分をしっかり補うことが大切です。

3. 1日にどれくらい摂るべき?──基準量は「良い状態を保つ量」

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1日のビタミンC推奨量を以下のように定めています。ビタミンCは、男女で同じ値が示されているのが特徴です。

年齢 推奨量(mg/日)※男女共通
1〜2歳 35
3〜5歳 40
6〜7歳 50
8〜9歳 60
10〜11歳 70
12〜14歳 90
15〜17歳 100
18〜29歳(成人) 100

ここで知っておいていただきたいことが2つあります。

ひとつは、15〜17歳ですでに成人と同じ100mgが示されていること。12〜14歳の90mgも大人の9割です。つまり、体格そのものは大人より小さい時期でも、大人と同じくらいのビタミンCが必要ということになります。

もうひとつは、この数字の決め方です。同基準は、推奨量のもとになる値を「欠乏症を防ぐ最小量」ではなく、「良好なビタミンCの栄養状態を維持する」観点から算定したと明記しています。つまりここに並ぶ数字は、症状が出ないぎりぎりのラインではなく、良い状態を保つための量となります。推奨量は「1日だけ下回ったか」で判断するものではなく、普段の食事の積み重ねで見ていく数字です。だからこそ、続けやすい形で毎日に組み込むことが大切です。

4. ビタミンCはどんな食品に入っているのか

ビタミンCを多く含む代表的な食品には、以下のようなものがあります。

  • 野菜:赤ピーマン・ピーマン、ブロッコリー、菜の花、かぶの葉、キャベツ
  • いも類:じゃがいも、さつまいも
  • 果物:キウイフルーツ、いちご、柿、みかん、グレープフルーツ

疲れている時期は、そもそも食が細くなりがちです。そんなときに現実的なのが果物と、いも類。特にさつまいものビタミンCは加熱による損失が比較的少ないとされており、蒸したいもや汁物の具といった形でも摂りやすいのが利点です。

5. 「まとめて摂れば大丈夫」が通じない栄養素

ビタミンCは、常日頃から意識しなければ、十分な量を摂取しにくい栄養素です。その理由は、主に3つあります。

体にためておけない

水に溶けるビタミンなので、体は余った分をため込むことができません。使われなかった分は尿として出ていきます。そのため、「週末にたっぷり摂ればOK!」というわけにはいかず、毎日少しずつ、適量を確実に摂取する必要があるのです。

一度に大量に摂っても、吸収されにくい

同基準によれば、吸収率は1日200mg程度までは90%と高い一方、1g以上になると50%以下まで下がります。たくさん摂れば摂った分だけ入る、という単純な話ではないのです。

加熱や水に弱い

茹でる、水にさらすといった調理の過程で、ビタミンCは煮汁や水に溶け出します。
食材としては摂れていても、口に入る時点で目減りしていることがあるのです。

つまり、疲れやすい時期こそ摂取が必要にもかかわらず、いちばん取りこぼしやすいのが、ビタミンCという栄養素なのです。

▼ 宮﨑先生からのメッセージ ▼

「疲れているみたい」というご相談をいただいたとき、私はまず、食事を増やすより「毎日確実にビタミンCを摂取できる習慣」を1つ作ることをおすすめしています。疲れている子どもに対して、単に食事の品数を増やしたところで、まず食べきれないでしょう。

例えば、みかんを1つ、いちごを数粒、もしくは、おやつに蒸したさつまいもを足してみる、など。朝でも夕方でも、その子が確実に口にできるタイミングに1つ置いてみるのがおすすめです。それだけで、その日届くビタミンCはずいぶん変わります。がんばっている時期ほど、完璧な食卓より、「毎日続く小さな1つの習慣」のほうが効いてくるはずです。


▼ ビタミンCの「よくある質問」 ▼

Q. 一度にたくさん摂れば、まとめて補えますか?

A. 残念ながら、まとめ摂りには向きません。吸収率は1日200mg程度までは90%ですが、1g以上になると50%以下に下がります。さらに体はビタミンCをためておけないため、1日のなかで分けて摂るほうが理にかなっています。

Q. ビタミンCは、摂りすぎても大丈夫ですか?

A. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、ビタミンCに耐容上限量(摂りすぎの上限)は設定されていません。ただし同基準には、通常の食品以外から1日1g以上を摂ることは推奨できない、とも明記されています。基本は食事から、が大原則です。

【参考文献・出典】
・厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』
・文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』


次回のテーマ

次回は、カルシウムとペアで骨を支え、体内の多くの反応に関わる「マグネシウム」のお話をお届けします。

▼関連記事

▼GOONAについて

GOONAは、「日本人の食事摂取基準」をもとに、現代の食生活で不足しがちな23種類のビタミン・ミネラルを、毎日のおやつ時間に補える設計のおやつサプリです。商品の詳細はこちらからご覧いただけます。

※本記事は、正確な情報をお届けするために管理栄養士の宮﨑奈津季先生の監修のもと制作しております。また、読者の皆さまにイメージをわかりやすく伝えるために、記事内の子育てや生活シーンの描写にはAIを使用しています。